第18回

肩口ねこ背で起こる症状=バネ指(けんしょう炎)=

 

 

 

カイロ博士プロフィール

甲木寿人(かつき・ひさし)
早稲田大学卒業。2002年3月まで、早稲田大学体育局講師(非常勤)として「姿勢と健康」の講義を受け持ち、現在公開講座「生涯学習」を担当。
日本カイロプラクティックフォーラム会長を務める。

肩こりから手の指先の痛みへ
D子さん(52歳・自営業)は、30歳頃から肩こりに悩まされてきました。
当時彼女は、経理の仕事でデスクワークが多く、肩がこるのはそのせいだと思っていました。
マッサージや鍼、ツボなどを試しましたが、いっこうによくならず、肩こりは自分の体質ではないかと思い、すっかり諦めていたのです。

2年前のある日、右手の人差し指と中指の第二関節がかくんと曲がり、伸ばそうとすると痛くて伸ばせなくなりました。
すぐに整形外科に行ったところ、指の使い過ぎが原因だと診断されました。
しかし、処方された痛み止めのクスリはあまり効きませんでした。
そのうち、首や肩までが痛むようになり、同じ痛みが左手にも出はじめ、中指から肩にかけて痛むようになったのです。

さらに、包丁や缶ビールさえ持てなくなり、タオルも絞れなくなりました。
しかし、お風呂に入っている間は、指の曲げ伸ばしもできるし、肩の痛みもやわらぐのです。

このような状態で、私どものところに来られたD子さんは、典型的なバネ指でした。
これは、肩こりのなれの果てに起こる神経の障害です。

D子さんは、肩口にねこ背があり、頭を後ろに倒せなくなっていました。
長年の肩こりや現在の症状は、まさしくねこ背が原因だったのです。
私は背骨の動きを柔軟にする治療を施し、胸はり体操を指導したところ、10回ほど通院したところで、すっかりD子さんの痛みはなくなりました

手首を曲げると痛い。
反らすほうが痛むと床に手がつけられない痛みになるなどの症状が出たときは、自分の姿勢がねこ背であることを疑ってください。
手首の痛みも、指と同じ神経が障害を受けている可能性があります。
試しに、自分の身長通りの姿勢をして、手首を動かす運動をしてみてください。
それだけで痛みがなくなる場合があります。

次回は、いわゆる五十肩です。お楽しみに!

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