第2回全国統一カイロプラクティック師免許試験

 

 

問題用紙

(この問題用紙は表紙を含めて全部で12ページです。)

注意事項

初めに「受験票」を机の右上に置いてください。

解答は、監督員による合図で始め、また終了してください。

試験場内での質問等は挙手をして監督員の指示を受けてください。

不正行為は即退室となります。

記入には黒の鉛筆またはシャープペンを使用してください。

下敷きの使用は認めません。

電卓・計算・辞書機能付の時計は持ち込みできません。

携帯電話・PHS・ポケベル等は、電源をOFFにしてカバン等にしまってください。

(時計としての使用は認めません。)

アラーム機能、音声機能付時計は、機能を解除しておいてください。

耳栓は、監督員の指示等が聞き取れないことがあるため使用できません。

試験場からの退室

答案が完成した場合でも試験開始後30分間、試験終了前5分間は退室できません。

解答用紙記入上の注意

解答用紙は「正・副」2枚を使用します。(複写式)

選択式の場合

解答は正解と思う符号の   をなぞってください。

ズレ・はみ出し等がないように十分注意してください。

記入方法を誤ると得点になりません。

 良い例:         悪い例:

○×式の場合

解答は○または×を解答欄に記入してください。

訂正の場合は二重線を使用し、正しい解答を記入しなおしてください。

例:

 

複数解答の場合は不正解とします。

解答用紙には、[受験番号]のみを記入してください。(名前は記入しないこと)

[受験番号]を間違えると採点の対象となりません。

解答用紙は、折ったり破損したりしないよう注意してください。

途中で退室する場合は、解答用紙の「正・副」を切り離し、「正」を裏返して各自の机に

置き「副」を持って監督員の指示に従ってください。

「正・副」を間違えて持ち帰った場合は不合格となります。

「受験票」は、合格後の免許証交付まで必要です。忘れずにお持ち帰りください。

「受験票」は実技会場にて実技試験官にお渡し頂き「開始」致します。必ずお持ちください。

問001 単純拡散についての説明で間違っているものはどれか。

A リン脂質二重層の透過性を介する。

B 非特異的な膜成分を介する。

C 特異的蛋白質の形成する直径の大きな孔構造を介する。

D 電気化学ポテンシャル差(濃度差)に比例して基質が透過する。

E 単純で選択性を有する拡散である。

問002 促進拡散(促通拡散)についての説明で間違っているものはどれか。

A 膜の受動輸送の一種であり、特異的な物質のみを輸送する輸送体を介する。

B 促進拡散にはVmaxやKmは存在しない。

C 固有の阻害剤によって阻害される。

D 基質特異性があり、基質より平均半径の小さい物質でも輸送体を通過しないことがある。

E 交換輸送と呼ばれる現象がある。

問003 能動輸送についての説明で間違っているものはどれか。

A 電気化学ポテンシャル差に逆らって無機イオンを輸送するのは一次性である。

B 腎および小腸上皮の糖−Na共輸送体は二次性である。

C カチオンATPase、電子伝達系、バクテリオロドプシン類などの輸送ポンプは一次性である。

D イオンと基質が反対方向に輸送されるもの。たとえば肺における赤血球内のHCO3、血清のClを交換するHCO3/Cl輸送体は一次性である。

E ATP水解の化学エネルギー、電子伝達の化学エネルギーなどをイオン輸送のエネルギーに変換するのは一次性である。

問004 細胞の輸送機能についての説明で正しいものはどれか。

A 単純拡散は膜動輸送である。

B 促進拡散(促通拡散)は能動輸送である。

C 能動輸送には一次性と二次性があり、電気化学ポテンシャル差による輸送である。

D 飲作用と食作用は内向きの膜動輸送である。

E 外向き膜動輸送には消化酵素系、神経伝達物質の分泌があり細胞内に取り入れる。

問005 細胞間の接着構造についての説明で正しいものはどれか。

A 形質膜の分化によって閉鎖帯と接着帯の2種に分類される。

B 上皮細胞間などで最も表面に近い密着した構造を接着帯と呼ぶ。

C 接着帯は細胞の全周にわたって細胞が密着し、その間隔は約200Åの間隔である。

D デスモソームは直径0.2μm程度の斑状の構造で、全体で細胞を結びつけている。

E 筋肉などの興奮性膜では接着帯に相当するものがギャップジャンクションである。

問006 興奮性細胞についての説明で間違っているものはどれか。

A 膜の電気的興奮性を有する細胞を興奮性細胞という。

B 神経細胞、効果器細胞である筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、多くの受容器細胞などが興奮性細胞に属する。

C 神経細胞は二つの機能を持つ。一つは活動電位を発生して電気的パルスとなった情報を伝える伝導の機能であり、他の一つは神経細胞の軸索終末に達した活動電位を、次の神経細胞に伝えるシナプス伝達の機能である。

D 受容器細胞の機能は、物理的化学的エネルギーを膜電位変化に変換して受容器電位が発生する、さらに受容器電位によって活動電位が発生して、末梢側より中枢側へと興奮を伝導する。

E 内分泌細胞の機能は消化酵素の分泌であるが、分泌に先立って活動電位を発生することが知られている。

 

問007 次の文章で間違っているものはどれか。

A 神経細胞が刺激を受け、膜電位が脱分極の方向に変化して、脱分極がある一定値を超えると、脱電位が急激に変化して活動電位が発生する。活動電位を発生するのに必要な最小の脱分極を臨界脱分極といい、そのときの膜電位を閾膜電位という。

B 活動電位が発生するときに、膜電位が−60〜90mVの静止電位から+30〜50mVの陽性電位に逆転する。この逆転した陽性電位をオーバーシュートという。

C 膜電位をいったん閾膜電位までもっていって刺激電流を止めると活動電位も中止し、一定経過の電位変化が起る。これを活動電位発生の全か無の法則という。

D 一定の刺激電流Imを与えたとき、膜電位は過分極あるいは臨界脱分極以下の電位変化が発生するときは、電位変化の遅れは細胞膜の等価抵抗をRmと、膜容量をCmに関係して、指数函数RmIm

(1−e−t/τ)で表すことができる。τ=RmCmを時定数という。

E 活動電位が発生しオーバーシュートしたあと膜電位は、数msec以内に自動的にもとの静止電位に戻る。しかし戻り方は一般に単調でなく、静止電位を一過性に飛び越したり、一時的に静止電位より陽性の位置に止まったりすることが多い。前者を後過分極電位といい、後者を後脱分極電位という。両者ともに後電位という。

問008 細胞膜にイオンチャネルが存在するが、その根拠で間違っているものはどれか。

A Na電流とK電流が互いに独立したイオン電流であること。

B テトロドトキシン(TTX)という薬物は3×10−7Mの極微量で特異的にNa電流を阻害するが、K電流に対しては影響がない。

C テトラエチルアンモニウム(TEA)という薬物は特異的にK電流とNa電流を抑制する。

D 細胞膜の内側からTTXを与えてもNaチャネルには効果がなく、10−6MでもNa電流は減少しない。このことからTTXの結合部位は膜の外表面にあることがわかった。最近、Naチャネル分子の一次構造の解析からもそれが支持されている。

E TEAのK電流に対する作用は、TTXと異なり10mM程度外液に加えないと、K電流を完全に抑制することはできない。また、ランヴィエ絞論では細胞外からでも効果があるが、イカ巨大軸索では細胞内からのみ作用することが知られている。また薬量作用曲線の解析から、TEAの場合もTEA1分子がKチャネルに結合して電流を抑制すると考えられている。

問009 次の文章で正しいものはどれか。

A STXがNaチャネルと1対1で結合すると考えると、膜へのSTX結合量からNaチャネルの興奮性膜における密度を推定できる。

B Naチャネルの密度は、有髄神経のランヴィエ絞論部のように12,000/μuあるものから30/μuあるものまである。

C Na電流密度もほぼ逆比例して変化している。1個のNaチャネルを流れる電流量あるいはコンダクタンス興奮性膜の種類によって、ほぼ一定ではないかと考えられる。

D 沼らの研究によって、電気ウナギの電気器官のNaチャネル蛋白質の一次構造が相補的RNAの塩基配列の解析から決定された。

E Naチャネルは1,820アミノ酸残基からなり、分子内に8個の機能的サブユニットというべき繰り返し構造があり、その一つひとつが少なくとも8箇所以上の膜外領域をもつことが明らかにされている。

問010 運動神経線維末端の中に約500Åの直径のシナプス小胞が含まれている。小胞に含まれる伝達物質は次のうちどれか。

A アドレナリン

B ノルアドレナリン

C アセチルコリン

D カテコールアミン

E グリシン

 

問011 中枢神経系のGABAA受容体(Cl)チャネルに発生した電位変化は次のうちどれか。

A EPSP

B slow EPSP

C IPSP

D slow IPSP

E EPP

問012 グリアの機能についての説明で間違っているものはどれか。

A 神経細胞相互の隔離と軸索の絶縁。

B 神経組織の修復と再生。

C 神経細胞への栄養補給と老廃物の排泄。

D 活動電位の発生と伝導。

E 神経栄養因子の分泌。

問013 濃淡の違いのある灰色の紙を並べてみれば、その境界では淡い方はより白く、濃い方はより黒く見えるような感覚の先鋭化と呼ばれる現象がある。その神経機構をになうのはどれか。

A シナプス前抑制

B シナプス終抑制

C 反回性抑制

D 拮抗抑制

E 側方抑制

問014 脳を系統発生的にみれば、海馬体、小帯回などは次のどれに含まれるか。

A 古皮質

B 原始皮質

C 中間皮質

D 新皮質

E 皮質に属しない

問015 脳脊髄と血液脳関門についての説明で間違っているものはどれか。

A CSFの70%は側脳室および第3,第4脳室脈絡叢から分泌される。

B CSFは血漿に似た成分を有するが蛋白質は含まない。

C 脳には血液から細胞外液あるいはCSFへの物質の移動を制限する血液−脳関門の機構を有す。

D 血液−脳関門の主な機構は脳実質毛細血管の内皮細胞に局在する。

E 松果体、下垂体後葉などの脳室周辺にあって豊富な血管支配をうける神経分泌細胞のある組織には血液−脳関門を欠く。

問016 視床の外側腹部にある外側腹側核の尾側部と後外側腹側核の吻側部は、反対側の小脳核ら結合腕を通ってくる線維を受け、大脳皮質の一次運動野に投射する。これらの核は次どれに属しているか。

A 感覚性特殊中継核

B 非感覚性中継核

C 連合核

D 非特殊核

E 視床網様核

問017 次の文章で間違っているものはどれか。

A 流血中ではB細胞がT細胞より少ない。

B T細胞にはキラー、ヘルパー、サプレッサーなどがある。

C 細胞免疫に関するのはT細胞である。

D T細胞もB細胞も骨髄中の幹細胞に由来する。

E 記憶細胞になるのはT細胞のみである。

 

問018 心電図の標準肢誘導の第U誘導とはどれか。

A 左手の電位と右手の電位の差をみる。

B 左足の電位と左手の電位の差をみる。

C 右足の電位と左手の電位の差をみる。

D 左足の電位と右手の電位の差をみる。

E 右足の電位と右手の電位の差をみる。

問019 前頭眼野(8野)についての説明で間違っているものはどれか。

A この皮質領野は、視野の中の標的に随意的に視線を移しかえるときにも生じる。

B 眼球運動に関係し、刺激によって反対側に向かう眼球の共役偏位が起こる。

C 破壊されると、一時的にしろ反対側に視線を向けることができなくなる。

D 上丘と橋網様体が関連していることが示唆されている。

E 追跡眼球運動に関与している。

問020 赤血球についての説明で間違っているものはどれか。

A 平均寿命は約120日である。

B 直径は平均6m mである。

C 流血中の赤血球は老化に伴って表面の脂質が脱落する。

D 出生後の赤血球は赤色骨髄でつくられる。

E 血色素の大部分はグロビンである。

問021 Weberの法則についての説明で正しいのはどれか。

A  感覚の強さにちょうど識別しうる差が生じるのに必要な二つの重量の最大差は、基準重量に関係し、基準重量のすべての範囲で一定値であることを見いだした。

B Weberは異なる重さの物体を比較する動物実験を行った。

C 一般に基準重量が閾値に近いとき、または極端に大きいと一定値は小さくなる。

D Weberの法則は他の感覚にも適用される。

E Weber比は感覚の種類によって異なり、差閾が小さい感覚ほどWeber比が大きく、弁別能がよい。

問022 次の文章で間違っているものはどれか。

A マイスネル小体は真皮乳頭の中にある小体で、触刺激による皮膚変位の加速度を検出するのに適している。

B メルケル盤とは、無毛部表皮胚芽層にあるメルケル細胞と、これに接する神経終末からなる。

C ルフィニ終末は、真皮下層や皮下組織にある小胞に包まれた神経終末で、持続的な皮膚変位の大きさに比例した応答を示す。

D ピンカス小体は、有毛部皮膚の毛の根もとにある平滑な円板状の盛り上がりで、毛盤または触覚盤ともいう。

E パチニ小体は、真皮下層や皮下組織にある直径約1mmの大きい層状構造の受容器である。

問023 ロドプシンについての説明で間違っているものはどれか。

A 光の吸収曲線と杆体のスペクトル感度、並びにヒトの暗順応時の視感度曲線とはよく一致する。

B 視細胞である錐体の外節中に分子量約40,000の感光色素が含まれている。

C 光の吸収の極大は約500nmにある。

D 蛋白質であるオプシンと発色因であるレチネンとが結合した色素蛋白である。

問024 視野についての説明で間違っているものはどれか。

A 一眼で見うる範囲・単眼視野は、一般に中央に広い円形を呈する。

B 対応点のわずかのずれは奥行きの感に重要である。

C 両眼で注視しているとき、片方の眼球を指で押すと対応点がずれるので像は二重になる。

D 両眼視野の共通部分にある物体が一つに見えるとき、像は左右の眼の網膜の対応点に結ばれている。

問025 神経節細胞の応答についての説明で間違っているものはどれか。

A 光刺激を与えている間は放電が抑制され、刺激を止めたときに放電が増すoff型。

B 光刺激の開始時と終了時のどちらにも一過性に放電が増すon-off型。

C 光刺激を与えている間にスパイク放電が増加するon型。

D 光刺激を与えても与えなくてもスパイク放電が続けている型。

問026 次の文章で間違っているものはどれか。

A 弛緩時の心筋長は拡張終期心室容積に、心筋の張力は心室収縮発生の仕事に相当する。

B 心筋の発生張力は筋節長が2.2μmの長さに引き伸ばされたとき最大となる。

C 心室の収縮で発生するエネルギーは、心室拡張終期容積(心室拡張終期筋長)に依存して決まり、生理的範囲内では筋長が増えるにしたがってエネルギーも増加する。

D 心臓の収縮はStarlingの心臓法則に基づく内因性機構と、心臓外因子による外因性機構によってコントロールされる。

E 心室が伸展しても限界の2.5μm筋節長まで張力は増加していく。

問027 次の文章で正しいものはどれか。

A 心拍出量は激しい運動時には、安静時の5〜6倍になる。

B 心拍出量を体表面積の2乗で割ったものを心拍出係数と呼ぶ。

C 左・右の心拍出量では右心室が若干多い。

D 心拍出量は心室が1秒間に拍出する血液量で、単位はl/secである。

E 1回拍出量は心室が1回の収縮で拍出する血液量で、単位をlで表わす。

問028 次の文章で正しいものはどれか。

A 心臓が産生するエネルギー供給源 … 乳酸>脂肪酸。

B 安静時心室内圧(mmHg) … 右心室>左心室。

C 1回仕事量(g-m) … 右心室>左心室

D 平均動脈圧と心臓が1回の収縮により拍出する血液量 … 1回拍出量

E 右心室が1回の収縮によって外部に対して行なう仕事量 … 1回仕事量

問029 心電図の単極胸部誘導は、Wilsonの結合電極を不関電極として胸部の6か所の電位、すなわちV1〜V6を求めたものである。その中のV4誘導の前胸部の電極の位置はどれか。

A 第4肋間胸骨左縁

B 第5肋間で左鎖骨中線状

C 第4肋間胸骨右縁

D 第5肋間で左前腋窩線

E 第5肋間で左中腋窩線

問030 脈圧についての説明で正しいものはどれか。

A 動脈圧波形で、上行脚の立ち上がりから切痕までが心臓の弛緩期、切痕から次の立ち上がりまでが収縮期である。

B 大動脈の圧波形では、上行脚に拍出期の終わりに大動脈弁が急に閉鎖することによって生ずる切痕がある。

C 脈圧は末梢に進むにつれて収縮期圧が増大し、弛緩期圧が減少するので大きくなる。

D 弛緩期血圧に脈圧を2で割ったものを加えたものが、平均動脈血圧である。

E 動脈圧の最大値が収縮期圧で、これを最低血圧という。

問031 動脈血圧測定についての説明で間違っているものはどれか。

A 圧迫帯で内圧を高めてから徐々に下げていくと、圧迫圧が動脈の収縮期血圧に達するときに心拍に一致して血管音が聞こえる。これをコロトコフ音という。

B 弛緩期血圧は、コロトコフ音が減弱するかあるいは消失するときのどちらをとってもよい。

C 触診法では聴診法の値よりもやや低めに出、また弛緩期血圧は測定できない。

D コロトコフ音の発生機序は、外圧により血流が間欠的に停止することによる。

E 動脈に注射針を刺入して測定する方法もある。

問032 血圧を上昇させる最も強力な要因はどれか。

A 細動脈の収縮

B 大動脈径の拡大

C 血液粘度の増加

D 心拍数の増加

E 血流速度の増加

問033 脈波についての説明で間違っているものはどれか。

A 脈波伝播速度は血流速度より速い。

B 脈波伝播速度は動脈壁の弾性率の平方根に比例する。

C 血管内径の波動を容積脈波といい、血圧計で測定する。

D 脈波の記録は鎖骨下動脈や頚動脈など皮膚の上からもできる。

E 急激な血流により内圧上昇と壁の伸展が波動として末梢に伝わることを、脈波という。

問034 微小循環についての説明で間違っているものはどれか。

A 微小循環は、血液と組織間の物質交換によって内部環境の恒常性を維持する。

B 心臓、動脈系は適正な血流をたえず微小循環領域に供給するための補助器官である。

C 毛細血管を血液が通過する時間は約10秒なので、その間に物質交換が十分行なわれる。

D 高等動物では、微小循環(毛細血管網と細動・静脈)により物質の拡散を行なっている。

E 血流速度は微小循環領域では遅くなるが、血管系のどこでも断面全体を通過する血流量は同じである。

問035 次の文章で正しいものはどれか。

A 冠状血流にはオートレギュレーション機構が欠ける。

B 左心室は収縮期ごとに最低血圧に等しい内圧を発生する。

C 心筋での酸素需要の増大が起これば、ただちに冠状血流の増大が必要である。

D 冠状循環路での血流は平均して3〜4秒で、激しい運動時には6〜8秒になる。

E ヒトの冠血流量は60〜80ml/100g・minで、激しい運動時には120〜160ml/100g・minに増加する。

問036 次の文章で間違っているものはどれか。

A 毛細リンパ管の基底膜の不連続部からコラゲン・エラスチン線維が入って、内皮細胞の形質膜に結合する。

B 毛細リンパ管は扁平な内皮細胞と基底膜を有し、内皮細胞は多くの小胞を含む。

C 毛細リンパ管には吸引作用があり、これによりリンパが産生される。

D リンパの組成は毛細血管から漏出した液体と同じである。

E リンパとはリンパ管を流れる液体である。

問037 脳循環についての説明で間違っているものはどれか。

A 内頚動脈と椎骨動脈が脳底のWillis輪で一緒になって、これがすべての脳血流を供給する。

B 脳循環には、血圧の変動などによる脳灌流圧の広範囲な変化に対して脳血流を一定に保つ調節機構が備わる。

C 脳循環は生体にとって最も重要な中枢神経系に血液を供給しており、心拍出量の約50%にあたる血流を常時受けている。

D 脳組織はブドウ糖以外の基質をエネルギー産生のために利用できないこと、きわめてわずかなグリコーゲン貯蔵しかもたないことなどのために、脳機能の恒常性は血流供給が安定して行なわれることによってはじめて保たれる。

E 中枢神経系は頭蓋骨や椎骨などの剛体の構造物の中に収まっており、神経組織、脳脊髄液、血液はいずれも非圧縮性であるから、細動脈などの拡張などで生ずるわずかな体積増加は、それに相応する静脈流出の増加で補償される。

問038 次の文章で間違っているものはどれか。

A 循環調節は血圧、心拍出量、血管抵抗を調節する機構である。

B 激しい運動時の筋肉酸素消費量は、安静時の30〜50倍にもなる。

C 循環系の機能は末梢組織への血流を供給することであり、心拍出量と各臓器への血流配分を調節する。

D 局所の血流は静脈血圧を局所の血管抵抗で割った値であるから、血流調節は血圧と局所の血管抵抗を調節すればよい。

E 運動時の心拍出量は安静時の5倍になる。

 

問039 次の文章で間違っているものはどれか。

A 副交感神経性血管拡張線維は冠血管と脳血管を支配している。また交感神経性血管拡張線維と同じく緊張性放電を示す。

B 交感神経性血管収縮線維は神経終末からノルアドレナリンを放出し、血管平滑筋のα1受容体に作用して血管の収縮を起こさせる。

C 交感神経性血管収縮線維は動脈、細動脈、前毛細管括約筋、細静脈などに広く分布しているが、毛細血管には分布していない。

D 交感神経性血管収縮線維は全身のほとんどすべての血管を支配しているが、交感神経性血管拡張線維はごく一部の血管にしかいきわたっていない。

E 交感神経性血管拡張線維は緊張性放電を示さず、動物が危険にさらされたときに示す防衛反応のときに血管拡張線維が活動し、運動が始まる前にすでに血流を増やしておく。

問040 骨格筋循環の調節についての説明で間違っているものはどれか。

A 筋血流の調節は神経性および体液性に行なわれており、筋組織は血管運動反射機構の主要な標的臓器となっている。

B 静止時の筋において、前毛細血管括約筋は非周期性の間欠的な収縮・弛緩を繰り返しており、いつもかなりの毛細血管床が灌流されずにいる。その結果、静止時の骨格筋の総血流量は低い。

C 筋の種類によって血流量が異なり、白筋の安静時血流量は赤筋のそれよりも多い。

D 運動時には筋組織の代謝が亢進し、局所性調節因子により抵抗血管が拡張して、筋血流量の増加する現象がみられる。これを運動性充血という。

E 骨格筋の血管にはコリン作働性交感神経性血管拡張線維が存在する。

問041 皮膚循環の特徴についての説明で正しいものはどれか。

A 皮膚および皮下の脂肪組織は皮膚血流が最大となったとき、効果的に熱の不良導体として働く。

B その機能にかかわる形態学的特徴として、皮膚血管床には特異的に動・静脈吻合があり、局所の代謝性を超えない血流を流しうるようになっている。

C 皮膚循環の第1の機能は体温を保つことであり、皮膚は体熱放散を促進したり抑制したりする必要に応じて血流を大きく変化させる。

D 表層皮膚静脈の広大な網目構造に熱負荷が加わったとき、これらは完全に収縮し、皮膚から熱放散をきわめて容易にする。

E 皮膚の酸素および栄養に対する要求は比較的わずかで他の多くの組織と異なり、これらの物質は皮膚血流の調節を支配する主要因子である。

問042 中枢神経系と循環系についての説明で間違っているものはどれか。

A 直接心臓と血管を調節する交感神経と副交感神経の調節は、互いにカップルしての動作が多い。

B 副交感神経により直接に心臓および特殊部位の血管を調節する。

C 交感神経により直接に心臓と血管を調節する。

D 視床下部−下垂体後葉系によりバゾプレッシンを分泌し、血流に運ばれて液性に血管と腎臓に働きかけ、血管収縮および血液量増加を起こされる。

E 交感神経がまず副腎髄質に働きかけてアドレナリン、ノルアドレナリンを分泌させ、これが血流によって運ばれ液性に循環系を調節する。これを神経性調節機構という。

問043 中枢性調節機構で防衛反応における循環系の変化についての説明で間違っているものはどれか。

A 心臓交感神経の興奮によって心臓の収縮性があがり、心拍出量が増える。

B 心臓迷走神経の抑制により心拍数が増加する。

C 交感神経性血管収縮線維の興奮により血管収縮と総抹消抵抗の増加が起こる。血管収縮は特に腎臓、消化管の血管で著しい。

D 他の血管が収縮する中で骨格筋の血管だけは拡張する。この反応は副交感神経性血管収縮線維による。

E 血圧も当然上昇する。

 

問044 交感神経−副腎系と循環調節についての説明で間違っているものはどれか。

A アドレナリンは筋血流と肝血流を増加させるが、ノルアドレナリンはこれらに影響しないか減少させる。

B 組織の代謝機能に影響を及ぼし、特に筋血管、肝血管の拡張を起こす点で、交感神経血管収縮線維と異なる。

C アドレナリンとノルアドレナリンがともに分泌される。ヒトではアドレナリンの比率が圧倒的に高い。アドレナリンとノルアドレナリンは循環系にほぼ共通な作用を及ぼす。

D 交感神経が激しく興奮したときに調節効果が発揮される。

E 作用時間が約10倍長い。つまり交感神経終末から刺激により放出されるノルアドレナリンは、ほとんど神経終末に再吸収されるために作用時間が長い。

問045 圧利尿による血圧と血液量の調節についての説明で間違っているものはどれか。

A 血圧が上がると尿量が増加する。

B 細胞外液量が増えると血液量が増加する。

C 平均体循環圧が上がると静脈還流が増える。

D 尿量が増加すると細胞外液量が増えるが、液体を摂取すると細胞外液量は減少する。

E 血液量が増加すると平均体循環圧があがる。

問046 1秒率が低下する疾患は次のどれか。

A 気管支喘息

B 肺炎

C 肺線維症

D 胸膜炎

E 高山病

問047 次の文章で間違っているものはどれか。

A 内呼吸(組織呼吸)では酸素を血中に取り入れ、炭酸ガスを排出する。

B 1回の換気量は正常成人で約500mlである。

C 呼吸を調節する中枢は延髄にある。

D 呼気中には酸素はほとんど含まない。

E 正常人の肺活量は約4.5l前後である。

問048 肺胞と血液のガス交換はどの作用によるか。

A 浸透

B 濾過

C 能動輸送

D 緩衝

E 拡散

問049 次の文章で正しいものはどれか。

A 肺胞は換気量が過剰であると必要以上にムダな換気を行なう。この換気量を肺胞死腔という。

B 肺に入った空気のほとんどはガス交換される。

C 肺胞でガス交換が行なわれなかったものが解剖学的死腔である。

D 換気量Aと血流量比は約0.8で、正常人では肺胞への換気・血流の分布はほとんど均等である。

E 死腔は成人で1回換気量の約10%である。

問050 次の組み合わせで間違っているものはどれか。

A 肺コンプライアンス ― l/cmH2O

B 呼吸抵抗 ― cmH2O/l/sec

C 1秒率 ― %

D 肺拡散能力 ― ml/sec/H2O

E 酸素消費量 ― l/min

以下の文章が正しければ○、間違っていれば×を記入せよ。

×問051 電気緊張性電位は局所応答ともいう。

問052 Naコンダクタンスは通常比較的早く不活性化するため、閾膜電位に達しない局所応答は時間とともに減少していく。したがって、刺激電流を徐々に強めるときは、Naコンダクタンスの不活性化が先行して閾膜電位が上昇し、活動電位はより大きな脱分極で起こる。このように通電によって閾膜電位が上昇する現象を適応と呼ぶ。

×問053 興奮伝導速度は温度に逆比例し、温度が高くなるとともに伝導速度は低下し、低温では伝導速度は増加する。

×問054 活動電位の伝導距離は、長さ定数()によって決まる。

問055 至適長さとは筋節が2.0〜2.2μmのときの筋の長さである。至適長さには筋の発生張力が最大で、それより長くなっても短くなっても小さくなる。

 

×問056 心筋収縮時のCaイオンの動きは骨格筋のそれと同じである。

問057 平滑筋細胞の興奮機構は骨格筋のそれと異なって、活動電位の立ち上がり相はCa2+透過性の増加による。

×問058 筋の短縮速度は荷重によって異なり、荷重が大きいほど短縮速度は大きい。

×問059 平滑筋はすべてその支配神経が興奮したときにだけ収縮する。

問060 大部分のシナプスでは150Å以上のシナプス間隙が存在し、原形質の連絡がなく、電気緊張性電位の減少率は0.01%になるので、シナプス前末端に発生した活動電位によるシナプス下膜を脱分極することはできない。したがって化学的伝達でなければならない。

 

×問061 太いフィラメント中のミオシンと細いフィラメント中のアクチンが、ATPの存在下に結合解離を繰り返すことによって起こる状態を硬直という。

問062 電気的シナプスのシナプス前線維膜とシナプス下膜は完全に独立しているが、その間隙は20Åと狭く、また両面細胞を貫通するギャップ・ジャンクションと呼ばれるイオンチャネルにより無機イオンなどの小さな物質は自由に移動できるようになっている。

×問063 すでに完成したシナプス統合そのものが外的要因により変わることはない。

×問064 末梢の交感神経節細胞で発見されたゆるやかな立ち上がり数10秒から数分続く緩慢な興奮性シナプス後電位はEPSPという。

問065 slow EPSPの時間経過が遅いのは、伝達物質を受容する受容体から、イオンコンダクタンスの変化までの間に細胞内での生化学的過程が関与することによる。

 

×問066 中枢神経シナプスであるグルタミン酸受容体チャネルで産生した電位変化をIPSPという。

×問067 退色過程でシス型となったレチナールまたはビタミンAは、主として色素上皮細胞に存在する異性化酵素によってトランス型に変換されて初めて再合成に利用される。

問068 小脳皮質顆粒細胞の細胞体の直径は4μm程度で、軸索の長さは数mmであるのに対し、脊髄運動神経細胞の大きなものの直径は100μmを越え、軸索の長さは1mにも及ぶ。

問069 Ach受容体チャネルはα2βγδの五つのサブユニットよりなり、これに糖鎖がついた分子量25〜27万の糖蛋白である。各サブユニットは四つ〜五つの膜貫通領域よりなり、この領域の親水性のアミノ酸残基のある面を内側に向けて、五つのサブユニットが同心円上に集まり、イオンチャネルの細孔の内壁を形作っている。

問070 運動野と体性感覚野には体部位局在性があって、大脳皮質の内側正中から外側方に向かって下肢、体幹、上肢、顔面の領域が順に並んでいる。

 

×問071 手指、顔面、唇などの微妙な運動ができてかつ感覚も鋭敏な部分に対応する皮質領域は、運動野でも感覚野でも相対的に狭い範囲を占めている。

×問072 連合野は前頭葉、頭頂葉、側頭葉、後頭葉に広がっており、中心溝を境として前頭連合野と二次連合野に大きく区分される。

×問073 基底膜の振動によって生じたコルチ器官と基底膜の相対的な偏位は、感覚毛に剪断力を生じ、感覚毛の基底小体側、すなわち外側への屈曲が受容器細胞に対する有効刺激として働く。

×問074 聴神経線維の発火の定位相性は、音の各刺激波に応ずるEPSPの時間経過が非常に長く、それが閾値を超すときに発火することになる。

問075 ヒトの眼の無調節時の屈折力は約59Dであるが、水晶体を取り去った場合、角膜表面だけで約43Dの屈折力を示す。水晶体の屈折力はしたがって16Dとなり、眼の屈折力の大部分は角膜表面での屈折によることがわかる。

 

問076 筋肉は長さを一定に保っているときに収縮させると、筋の張力が発生する。

×問077 筋肉を収縮させたときに、長さが変わらないときの収縮を等張性収縮という。

問078 胃腸管の平滑筋などでは、30mV程度の10秒ぐらいの持続をもった脱分極が毎分3〜5回ほどの頻度で自発的に発生する。

問079 脱分極相に活動電位が1〜数個乗る膜電位変化を徐波(slow wave)といい、その発生機序は活動電位のそれと全く異なっている。

問080 徐波には膜電位依存性がなく、酸素不足や代謝阻害剤によって抑制され、その発生頻度は著明な温度依存性がある。

 

×問081 大脳皮質の中で、最も古い皮質を原始皮質という。

問082 海馬体、小帯回などは、原始皮質に含まれる。

問083 中間皮質は原始皮質と新皮質との間の移行的な層構造をもつ皮質である。

×問084 発生の途中で少なくとも一度は3層構造をもつ新しい皮質は新皮質と呼ばれる。

問085 系統発生的に古い皮質と、個体発生的に早期に形成される皮質とはほぼ一致する。

 

×問086 メルケル盤とは、有毛部表皮胚芽層にあるメルケル細胞と、これに接する神経終末からなる。

問087 ピンカス小体は、有毛部皮膚の毛の根もとにある平滑な円板状の盛り上がりで、毛盤または触覚盤ともいう。

問088 マイスネル小体は真皮乳頭の中にある小体で、触刺激による皮膚変位の加速度を検出するのに適している。

×問089 パチニ小体は、真皮乳頭にある直径約1mmの大きい層状構造の受容器である。

問090 ルフィニ終末は、真皮下層や皮下組織にある小胞に包まれた神経終末で、持続的な皮膚変位の大きさに比例した応答を示す。

 

問091 反対色説は補色、対比の現象説明に有利な説である。

×問092 赤、黄、緑、青の4色に白と黒を加え、それぞれの分解と合成により白−黒、赤−黄、緑−青の感覚が生ずることから色覚の機序を説明するのが反対色説である。

×問093 すべての色合いは三つの基本的な原色:赤(700nm)、緑(546nm)および黄(435nm)の混合により得られる、とするのが三色説である。

問094 赤、緑、青の三つが同じ程度に刺激されると白の感覚が生じる。

問095 色覚異常は、色覚を構成する3種の錐体のうち、いくつかの種類の機能が失われたり、弱まった場合と考えられる。

 

問096 一つの運動ニューロンが支配する筋線維の数をその運動単位の神経支配比という。

×問097 神経支配比は一般に微細な運動に関与する筋(指の筋、眼筋など)で大きく、粗大な運動に関与する筋(四肢の近位筋、体幹筋など)で小さい。

問098 運動線維のインパルスは神経筋接合部を介して支配下の各筋線維に伝わり、興奮と収縮を起こす。

×問099 一つの運動単位の筋線維はまとまって束をなす。

問100 赤筋は収縮が遅く疲労しにくい。これに対し白筋は収縮が速い反面、疲労が起こりやすい。